統合失調症とは
脳のさまざまな働きをまとめることが難しくなる病気で、多くは10~30代に発症し、幻覚や妄想が特徴的な症状になります。人口の0.7~0.8%に発生するといわれており、約100人に1人みられる比較的多い心の病気です。
症状としては主に「陽性症状」と「陰性症状」に分けられ、陽性症状では、幻覚や妄想がよくみられます。幻覚は実際にはないものをあるように感じる知覚の異常です。よくみられるのが幻聴で、その声は自分に対する悪口や噂であったり、何かの命令であったりします。妄想は非現実的なことやあり得ないことなどを信じ込むことです。本人には現実味があり、それが病気の症状だとは気づきにくいのが特徴です。一方、陰性症状では、感情が乏しい、思考能力の低下、コミュニケーションに支障をきたすといったことがみられます。
経過は人によって様々で、非常に薬が効いて、症状のコントロールがうまくいく方と、そうではない方など、いろいろな患者さんがいらっしゃいます。早く治療を開始するほど、回復も早いといわれています。ご本人が病気の症状と気づいていない場合もあるので、ご家族や周囲の方が症状に気づいたときには、早めにご相談ください。
統合失調症の症状について
- 知らない人の声が聞こえたり、命令してくる
- 自分の考えが世界中に知れ渡っていると思う
- 自分の悪口を言われている感じがする
- 誰かに狙われている
- 盗聴されている
- 電磁波に襲われている
- 誰かに操られている感じがする
- 話がまとまらず、何を言っているのかわからなくなる
- 家の中に引きこもって、ほとんど外出しない
- 喜怒哀楽の感情を表さなくなる
- 何事にも無気力になり、関心が持てない
- など
統合失調症の治療について
統合失調症の治療としては、継続的な薬物療法によって、症状を安定させ、再発予防のため心理教育と生活訓練を行うことが重要とされています。
薬物療法としては、主に抗精神病薬を使って、ドパミンを抑えていきます。抗精神病薬にはさまざまな種類があるため、効果や副作用を確認しながら、ご本人に合ったお薬を医師と一緒に探していくことが重要です。症状が落ち着いても、それはお薬の効果です。薬物療法を中止すると、1年以内に7割以上が再発してしまうと言われています。服薬の中止についてはご自身で判断せず、医師と相談していきましょう。
薬物療法で症状が落ち着いてきたら、心理教育や生活訓練を行いながら、少しずつ社会生活を取り戻していくためリハビリが必要です。デイケア、作業所、訪問看護など社会的なサービスについてもご相談させていただきます。