適応障害とは
適応障害とは、自分が置かれている環境に適応できず、ストレスにより心身に影響が出て、抑うつ気分、不安感、不登校、職場不適応、出勤拒否、対人トラブルなど、さまざまな症状や問題が生じて社会生活に支障をきたす疾患です。
特に、就学、就職・転職、結婚・離婚といった身の回りの大きな環境変化があって、その新たな環境への適応を迫られた際に発症し、多くのケースでは生活の変化や強いストレスのかかる出来事が生じてから３ヵ月以内に起こると言われています。
適応障害は、誰にも起こり得るような環境変化のストレスによって、予想以上に精神的ダメージを受けた状態であり、その背景には、周囲のサポート不足や本人のストレス耐性などが関与していると考えられています。
また、「不安感が強まる」「睡眠や食欲に影響が出る」などの症状は、適応障害のみならず、うつ病の症状としても当てはまります。そのため「適応障害だと思っていたら、うつ病だった」という方の存在も否定できず、鑑別が難しいことがあります。適応障害はストレスの原因がハッキリしており、ストレスを除去できれば症状は回復するのに対して、うつ病ではストレスが少しずつ蓄積して症状が悪化していき、ストレスがなくなってもすぐに回復しないことが多いという違いがあります。
適応障害の症状について
症状の現れ方は、ストレスを受けた状況や本人の性格により異なることもありますが、主に下記のような症状が現れます。これらの何らかが目立った状態、またはいくつかの症状が混合した状態でみられるようになります。
情緒的な症状
不安、抑うつ、イライラ、悲壮感、過敏、混乱、気力・思考力・集中力の低下、攻撃的になる など
身体症状
不眠、食欲不振、動悸、過呼吸、全身倦怠感、頭痛、肩こり、腹痛 など
問題行動
遅刻、欠勤、早退、仕事の停滞、怠学、過剰飲酒、ギャンブル中毒、ひきこもり など
適応障害の治療について
ストレスの原因を見つけて、居心地のいい環境に調整していくことが回復への第一歩です。また、ストレスに上手に対処するには、適応力を高めることも必要です。
なぜなら、ストレスが完全に消えてなくなったとしても、本人のストレスへの対応力（ストレス耐性）が低ければ、また違ったストレスに直面したときに適応障害を発症してしまう危険性が高いからです。不安や不眠などに対しては抗不安薬や睡眠薬、うつ状態に対しては抗うつ薬を使うこともあります。ストレスの原因と向き合うのは、簡単な作業ではありません。薬物療法だけでなく、環境調整や必要であればカウンセリングなどをご提案していきます。
