不眠症とは
不眠症と睡眠障害の一種で、「寝つきが悪い」、「夜中や早朝に目が覚める」、「熟睡感がない」などの夜間の睡眠困難があり、それにより日中の疲労、不調感、注意・集中力低下、気分変調などの問題が生じるため生活に支障をきたし、しかもそれが慢性的に続く疾患です。
現在、日本では成人の約5人に1人は睡眠障害に関するなんらか問題を抱えていると言われます。人口の高齢化、ライフスタイルの多様化、24時間社会における生活リズムの乱れ、ストレスなどが背景にあるのかも知れません。
「寝つきが悪い」、「夜中や早朝に目が覚める」、「熟睡感が無い」などの症状は、誰もが1度は経験したことがあるかと思いますが、これらはうつ病など他の精神疾患の症状の一つとして現れることもあります。他にも生活習慣の問題だったり、むずむず脚症候群（夜間に足がムズムズする）や睡眠時無呼吸症候群（睡眠中の呼吸が止まることがある）、レム睡眠行動障害（夜の異常行動）なども原因になることがあります。そのため単に寝つきが悪いからといって睡眠薬で症状を解決しようとするだけでなく、根本的な原因が何かを探ることも重要です。仕事に支障をきたすなど、日常生活で不都合が生じるような場合は、受診して治療を受けるようにしてください。
不眠症の症状について
- 眠りにつくまでに時間がかかる
- いったん寝入っても、夜中に何度も目が覚める
- かなり早い時間帯に目が覚め、その後は寝つけない
- 熟睡感がない
- よく眠れないために気分が落ち込む、あるいはイライラする
- よく眠れないために注意力や集中力などが低下し、日常生活に支障がある
- 日中に強い眠気に襲われる
- 寝言が多い、夜間に急に声をあげたり、歩いたりする
- 夜に足がムズムズする
- 寝過ぎてしまう
- など
不眠症のタイプについて
不眠症は、主に入眠障害・中途覚醒・熟眠障害・早朝覚醒の4つのタイプに分類されます。詳細は以下の通りです。
これらに該当し、日常生活に影響がみられる場合は、一度ご相談ください。
入眠障害
最も多く見受けられるタイプの不眠です。多くは心配事やストレスなどにより、寝つきが悪く、なかなか眠れない（30分～1時間以上）といったものです。ただ、一度寝ついてしまうと朝まで眠れることがほとんどです。
中途覚醒
寝つきは良いのですが、トイレなどで就寝中に一度起きてしまうと、その後なかなか眠りにつくことができなくなります。熟睡感が得られないタイプになります。
熟眠障害
睡眠時間を十分にとりながらも、眠りが浅いことが原因で目覚めたときに熟睡感が乏しい状態です。
早朝覚醒
寝つきは良く、すぐに眠りにつけます。ただ朝早くに目覚めてしまい、そのまま眠れなくなってしまうタイプです。このような症状は、うつ病の方や高齢者に多く見受けられます。
不眠症の治療について
不眠症は、その原因により治療法も変わってきますが、生活習慣の改善と薬物治療が中心になります。 いずれにしても、不眠の原因である心の病気、身体的疾患、不適切な睡眠環境などの改善に取り組むことが大切です。
ライフスタイルの見直し
生活習慣の改善による治療です。室温、部屋の明るさなどを調節することにより睡眠が得やすい環境にする、音楽や読書などリラックス出来る時間をつくる、軽い運動をする、睡眠時間の4時間くらい前に食事を済ませ、入浴は1～2時間前にする、就寝前のパソコンやスマートフォンの使用を控える、日光を浴びて正確な体内時間を設定する、などです。
薬物療法
不眠のタイプによって睡眠導入剤のタイプもそれぞれ変わってきます。寝つきが悪い、途中で起きてしまう、早くに目が覚めてしまう、などの各症状に応じて睡眠薬が処方されます。また、漢方薬、抗うつ薬、抗不安薬、抗精神病薬なども使用されることもあります。医師に指示された用法や用量を守って、正しく使用しましょう。睡眠薬を服用したら30分以内には寝床につくようにしましょう。
服用していた睡眠薬を急に中止すると、リバウンドで不眠が悪化することがありますので、医師の指示のもと、ゆっくりと中止していきましょう。
